石炭、石油、天然ガスは、現在もなお世界的に最も重要な発電用燃料であり続けています。ほとんどの火力発電所が化石燃料を用いて蒸気を発生させ、タービンを回します。ニッケル含有材料がよく選ばれるのは、耐食性と耐熱性を備え、ボイラーや熱交換機といった厳しい条件下でも耐久性を高めるためです。蒸気の温度と圧力は絶えず高まり続けています。そうすることでプロセス全体の熱力学的効率が高まるだけでなく、CO2排出量を削減できるからです。そのためにはタービンに耐クリープ性のより高い材料を使う必要があります。最終的には、排煙の処理も大気汚染軽減のために必要となります。ニッケル含有材料には電気集塵機や排煙脱硫(FGD)装置の苛酷な条件に耐えることが求められます。
熱電併給(コージェネレーション:CHP)設備など、地域的な発電でのガスタービン利用が増加しつつあります。この場合の材料要件は、「輸送」の項で説明したものと同様です。たとえばスターリングサイクルエンジンを利用するマイクロ発電のように規模は小さくとも、耐熱性を持つステンレス鋼とニッケル合金が用いられるでしょう。
ニッケル含有材料は多くの「クリーンコール」テクノロジーでも必要とされます。たとえば石炭ガス化、二酸化炭素回収・貯留(CCS)など、いずれもCO2排出量の削減を目指す技術です。
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