電気めっきはニッケルの古くからの用途の1つであり、今日も重要な用途であり続けています。電気めっきはその下層にある基質に耐食性と耐摩耗性をもたらします。さらに、別の装飾用素材、たとえばクロムや金などを上塗りするための下地を滑らかに整えます。
被膜の特性はめっき浴の組成と析出条件によって変化します。さらに詳しくは文献をご参照ください。
ニッケルの電気めっきは、着脱可能な成形型(すなわちマンドレル)上にコーティングするためにも用いられます。このプロセスは電鋳と呼ばれるもので、細部をきわめて細密に複製することができ、たとえばDVDのプレスなどプラスチック成型作業に利用されています。また輪転印刷スクリーンなど実際の部品を生産することもあります。
合金によるめっきも可能であり、航空宇宙産業ではカドミウムコーティングに代わってニッケルー亜鉛コーティングの利用が増加傾向にあります。
ニッケルは、溶液から化学的還元によって析出させることもできます。溶液の化学組成に応じて析出物中の燐の量をコントロールすることができ、析出物を熱処理することで異なる硬度や透磁性を得ることができます。こうした無電解ニッケルめっき製品は、耐摩耗性や耐食性が重要な用途や、コンピュータハードディスクドライブなどに用いられています。
ニッケル合金の新メッキ技術 - 奥野製薬工業(株)総合技術研究所 総合技術研究部 長尾敏光博士ご寄稿