リスク管理

物質の特性と使用、結果としてのばく露を適切に理解すれば、業界による自己規制(リスク管理)が可能になります。具体的には下記のとおりです。


  • どの物質の使用が適切で、どれが不適切なのかを判断できるようになる。
  • 製造ならびに使用時に、どのリスク管理措置を適用すべきかを判断し、確実に安全な取り扱いをすることができるようになる。

有効な化学品管理規制は、このリスク管理原則を認識する必要があるというのがニッケル協会の見解です。つまり、「物質の安全な使用」という主要責任が業界に課せられることになります。この「責任と対策」の原則は、例えば、欧州REACHでも採用されており、リスク管理措置に関する勧告はサプライチェーンを介して体系的に伝達されるべきなのです。同リスク管理は、業界による適切な判断を可能にする明確な法的枠組みを介して強化することができます。

一般的な法的枠組みを超える規制上のリスク管理措置については、十分な配慮をもって考慮されるべきでしょう。ニッケル協会では、特定の物質に関する禁止令については特別な注意をもって臨むべきと考えます。

禁止令は、業界のリスク管理措置も、その他の規制上のリスク管理措置も、十分な効果が認められないことが証明された際の最終手段とすべきです。特に、禁止令は対物質ではなく物質の不適切な使用に対するものであるべきです。

規制上のリスク管理措置が必要な際に限り適用され、規制制度上、利用可能な中で最も有効なリスク管理オプションが選択されるようにするためには、規制上の最善策を特定するプロセスが必要です。

ニッケル協会は、各化学品管理制度においては規制上の最善策を特定できるようなプロセスを定めるべきと確信しています。この目標を達成するため、またその一例として、EU当局は「リスク管理オプション分析(RMOA)」という手法を取り入れる決定をしました。

ニッケル協会とRPA社では、豪州、カナダ、欧州(RMOAs)、ニュージーランド、米国において最も適切なリスク管理オプションがどのように選択されているか調査しています。この調査から分かることは、EUのRMOAのような統合されたツールは、様々な化学物質管理規制が重複して存在し、共同で法規制やリスク管理の効果的な使い方を考えなければならない状況にある場合、特に重要であるということです。RAR社の調査はこちらからご覧ください。

リスク管理オプション分析(RMOA)の事例

ニッケル化合物に対する「リスク管理オプション分析(RMOA)」を実施したEU加盟国は三カ国(フランス、ドイツ、ハンガリー)あります。これらのRMOAは他のニッケル化合物についても代表するものです。ニッケルメタルは有害性分類レベルが低いことから、このプロセスの影響を受けません。同RMOAアプローチの結果、EUはニッケル化合物に対する最適なリスク管理措置として法的拘束力のある職業ばく露限界値(「拘束的OEL」)の設定を優先的に取り扱うことにしました。その他の規制上のリスク管理措置(例:候補リスト、制限または認可)はニッケル化合物に関しては想定されていません。

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